今の時代、知っておくべきこと

親が自分の子供に教えることといえば、「友だちと仲良くするように」「嘘をついてはいけません」といったあたりが代表例でしょうか。

親は、自分の子供には幸せになってほしい、と考えて、様々なことを教え込み、しつけをします。将来、一人前の大人として生きていくためには、相応の能力及び人格が要求されるためです。

それでは今の時代、どうしても知っておくべきことは何でしょうか？

昔も今も変わらないことはありますが、現代最も必要なのは「時代は移り変わる」ことと、「世間には悪人もいる」ことをきちんと認識しておくことではないでしょうか。

「時代は移り変わる」ことについては、誰もが気がついてはいます。しかし、実際にそのことを認識して、行動できているでしょうか？

例を挙げれば、大学進学についてです。今や高校を卒業後、半数が四年制大学に進学します。しかしこの中で、本当に熟考した上で大学に進学した人（あるいは子供にそうさせた親）は、はたしてどのくらいいるのでしょうか？

今時、大学を卒業しても、非正規雇用にしか就けない人は珍しくもありません。たとえ大学を卒業していても、職業上役立つ能力やスキルを持っていなければ、まともな就職も難しいのが現状です。

おまけに、大学に行くとなれば、決して安くない額のお金が必要です。一番安上がりな「自宅通学での国立大学進学」の場合でも、卒業までに約３００万円は必要です。
ましてや下宿して私立大学に通い、月１０万円の仕送りをすれば、４年間で約１０００万円かかります。これだけの支出に見合う見返りがあるかどうか、どれだけ熟考してもし過ぎることはありません。その結果、大学進学は不要だという結論が出れば、高卒で働くのも賢明な選択です。

次に、「世間には悪人もいる」ことについてです。

私見ですが、昨今かまびすしく取り上げられているブラック企業の問題は、「世間には悪人もいる」ことを自覚していない人が多いから起きるのではないでしょうか？

「世間には悪人もいる」ことを知っていれば、会社経営者の中にも悪人がいることは容易に判断できますし、そうなれば就職した先が不幸にもブラック企業だった場合、直ちに逃げればすむことです。何を好きこのんで、悪人の利益追求に手を貸す必要があるのでしょうか？

とは言ったところで、この国の人たちが、どれだけ理解しているかは疑問です。
その証拠に、従業員が過労自殺したにもかかわらず、その責任を決して認めようとしない某居酒屋チェーンの創業者が、選挙で選ばれて参議院議員を務めています。日本国民の民度たるや、推して知るべしです。

しかし、あきらめてはいけません。社会の現実に気づき、より良く変えていくために行動すれば、少しずつでも着実に変化します。その積み重ねが、生きやすい社会を作ることにつながっていくのですから。