豊国男の日記

日常生活の中で、考えついたことを綴ります。テーマは雑多な分野に及びます。

少子化は止められません

政府が音頭を取って、「イクメン」や「男性にも育児休暇の取得を」などと言っていますが、少子化の流れは止められません。

 

第一に、出産適齢期である20代・30代女性の数が、今後年を追うごとに減少するためです。そうなればもちろん、生まれる子供の数は減っていきます。

 

第二に、昔と比べて雇用の質が劣化しています。今や労働者の約4割が非正規雇用です。非正規雇用の場合、多くは都道府県が定める最低賃金と大差ない給与しかもらえません。男性でも非正規雇用で働く人が多い昨今、その収入で家族を養うのは難しいでしょう。おまけに、非正規雇用ですと、雇用も不安定です。

よしんば正規雇用の職にありつけたとしても、昔と違って収入が右肩上がりに伸びることはあまり期待できません。こうした状況では、結婚や子育てに二の足を踏む人が増えるのはごく自然な成り行きです。

 

第三に、子育てにかかる時間が見通しにくくなっています。昔は、「子供が高校を卒業するまで」あるいは「大学を卒業するまで」といった、子育ての終わりの時期がおおむね見通せました。「学校を卒業して就職」というのが、ごく一般的な流れだったからです。

しかしながら、今や高校や大学を卒業しても、非正規の職にしか就けない人は珍しくありません。その場合、自分の収入でアパートを借りて自活していくことは難しいですから、親と同居する場合が多いと思います。そうした生活を何年か続けてしまうと、新卒のとき以上に正規雇用の職を得るのが難しくなります。現に最近は、30歳を過ぎても親元暮らしをしている低収入の人は少なくありません。こうした人たちの多く(特に男性)にとって、結婚して子供を生み育てるのは難しいでしょう。

 

こうした現状を考えると、男性の育児休暇取得がごく一般的になったところで、少子化の流れは止まらないと思います。

 

この問題に即効性のある処方箋はありませんが(あればとっくに実行されています)、まずは若者の雇用の質を良くすることが第一なのではないでしょうか?