「夢」を追うことについて
小中学校の作文や卒業文集で、「将来の夢」について書かされたりします。夢を持つことは確かに大切ですが、「夢を追うことのリスク」についてはあまり顧みられることがないような気がします。
よくある夢が、「スポーツ選手」「ミュージシャン」「お笑い芸人」といったものです。いずれも成功すれば世間に顔が売れ、破格の収入が得られる職業です。憧れを抱く子供や若者が多いのもうなずけます。
しかしながら、こうした職業を目指して、学校を卒業してもまともな職に就かずに夢を追い続けることが、はたして賢明な選択でしょうか?
たまにテレビのドキュメンタリー番組で、売れない芸人の現状が放送されたりします。実際彼ら(彼女ら)は、芸人としての収入だけでは生活が成り立たないため、アルバイトをして何とか食いつないでいるのが実情です。当人たちにははなはだ気の毒ですが、「お笑い芸人」というよりは単なるフリーターというほうが実際に近いと思います。
アルバイトをしながら、たまにしかない芸人の仕事のためにネタを仕込み、夢を目指して努力する姿には敬服しますが、残念なことに多くは世に出ることはなく、失意の人生を送ります。
子供には、そんなことまで考える思慮深さがありませんから、単なるあこがれとしてこうした職業を目指すのも理解できます。しかしながら、そうした生活を送っている当人たちは、自分の選択に本心から満足しているのでしょうか?
人間、どんな崇高な理念を唱えたところで、生活していくにはお金が必要です。お金がなければ、衣食住といった生活の基盤を整えることすらできません。そして、「貧乏でも好きなことをしているから幸せ」などというのは、多くの場合口先だけの負け惜しみに過ぎないことも、大人であれば知っています。
こうした実情を理解した上で、「それでも夢を追い続けたい」というのであれば、それは個人の選択ですからご自由に。人生は一回きりですが。